債務整理における自己破産とは?メリット・デメリット・手続きの流れを紹介!

借金の返済が苦しく、自己破産しか選択肢がないのではと考える方は少なくありません。

債務整理の方法の一つである自己破産は、裁判所の判断で原則すべての借金をゼロにできる手続きですが、多くのデメリットも伴う最終手段という位置づけです。

この記事では、債務整理における自己破産の基本情報、メリットとデメリット、手続きの流れ、免責されないケースについて詳しく紹介します。

債務整理における自己破産とは

債務整理における自己破産とは

債務整理にはいくつかの方法があり、自己破産はその中の一つの種類です。ここでは、自己破産の手続き内容や他の債務整理との違いについて詳しく解説します。

自己破産は借金の返済義務を免除する手続き

自己破産は、原則として対象となるすべての借金の返済義務を免除する手続きです。

債務整理の中では最終手段のような位置づけで、裁判所から免責という決定が出れば、これまで重くのしかかっていた借金の返済義務から解放されます

ただし、自己破産の申立てをしただけで自動的に借金がゼロになるわけではなく、免責許可の判断が下りるまでには一定の時間がかかり、多くの資料を提出する必要があります。

また、原則として20万円以上の預貯金や価値の高い車、不動産などのプラスの財産は処分されるため、借金も財産もゼロに近い状態から再出発するというイメージです。

それでも返済の目処が立たないほど借金が膨らんでしまった方には、精神的な負担から解放され、生活の再建に集中できるという大きなメリットがあります。

他の債務整理(任意整理・個人再生)との違い

債務整理には、自己破産だけでなく任意整理や個人再生という選択肢もあります。

任意整理は、裁判所を通さず専門家が債権者と直接交渉し、将来利息のカットや返済期間の見直しなどで毎月の返済額を軽くしていく手続きです。

個人再生は、裁判所に申立てを行い一定の条件のもとで借金の元本を減額してもらったうえで、原則3~5年で分割返済していく制度です。

一方、自己破産は免責許可が出れば借金の返済義務が原則ゼロになるため、どの程度借金を減らせるかで大きな違いがあります

借金の減額幅が少ない代わりに、任意整理では家や車などの財産を処分する必要がなく、個人再生でも住宅ローン特則を使えば家を手放さずに済みます。

返済は続けられるが条件を見直したいなら任意整理、自宅を守りながら借金を大幅に減額したいなら個人再生、どうしても返済の目処が立たないなら自己破産と使い分けるイメージです。

自己破産のメリット

自己破産のメリット

自己破産のメリットを理解しておけば、デメリットと比べても自分が踏み切るべきかを冷静に判断しやすくなります。ここでは、主なメリットについて詳しく解説します。

原則すべての借金の返済義務が免除される

自己破産では、裁判所から免責許可決定を受けることで、原則としてすべての借金の返済義務が法的に免除されます。

消費者金融やカードローン、銀行からの借入、親族や知人からの個人間の借金など、多くの債務について支払義務がなくなります

自己破産後は、給料やボーナスなどの収入を借金返済に回す必要がなくなり、今後の生活費や貯蓄などに回すことが可能です。

ただし、税金や一部の養育費、罰金など非免責債権と呼ばれる債務は例外的に残るため、すべてが無条件でゼロになるわけではありません。

それでも大半の借金が帳消しになる効果は極めて大きく、これまで借金で圧迫されていた家計をリセットし、新たな人生の再スタートが切れます。

手続き開始後に督促や取立てが止まる

弁護士から債権者に受任通知が送付されると、貸金業法の規制を受ける債権者は取立行為を禁止されるため、原則として各債権者が個別に行っていた督促や取立てなどは止まります。

電話や督促状、訪問などによる催促で精神的に追い詰められていた方には、取立てがなくなるだけでも心理的負担が大きく軽減されます。

さらに、すでに給与や預金口座が差し押さえられていた場合でも、破産手続開始によって効力が失われるため、その後は新たな差押さえができなくなります

自己破産の手続きに入ること自体が、今ある借金問題の悪化を防ぎ、日々の取立ての負担から離れる防波堤として機能する点は大きなメリットです。

返済の不安から解放され生活を立て直せる

自己破産で免責が認められれば、毎月の返済に追われる生活から解放されます。

例えば、返済に充てていたお金を生活費や医療費、子どもの教育費、老後資金などに振り分けることができるため、将来への具体的なプランを描きやすくなります

また、自己破産をしても99万円以下の現金や生活に必要な一定の家財道具などは原則として手元に残せるため、明日からの生活が全くできなくなるわけではありません。

最低限の生活基盤は守られたうえで再スタートできる制度のため、生活と心の両面を整えるための有効な手段として機能しています。

自己破産のデメリット

自己破産のデメリット

自己破産は、原則すべての借金をゼロにできるという大きなメリットがある一方、決して無視できないデメリットも多くあります。ここでは、主なデメリットについて詳しく解説します。

一定の財産は原則として処分される

自己破産では、一定以上の価値がある財産は債権者への配当に回すため処分されます。具体的には、以下の財産が換価の対象となりやすいです。

  • 一定額を超える預貯金
  • 評価額の高い自動車
  • 不動産
  • 解約返戻金の大きい生命保険
  • 高価な私物(ブランド品や骨董品など)
  • 有価証券(株や投資信託など)

一方、99万円までの手元の現金、衣服や寝具などの生活必需品、必要最低限の家具や家電、価値の低い車などは自由財産として残すことができます

財産を守りながら借金を整理したい場合には、任意整理や個人再生など、別の債務整理手続きの検討も視野に入れ、専門家と相談しながら選択することが重要です。

一定期間はローンやクレジットカードが利用不可

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報として登録されるため、一定期間は新たな借入れやクレジットカードの発行がほぼ不可能になります。

一般的には、おおよそ5~7年程度は審査に通りにくく、使用中のクレジットカードも利用停止や解約になることが多いです

これにより、自己破産後の生活スタイルは現金主義に切り替える必要がありますが、裏を返せば、気軽に借金を増やせない環境と捉えることもできます。

衝動的なカード払いを抑え、計画的な支出を意識しやすくなるため、家計管理の方法を見直しながら新しく生活を立て直すことが必要です。

一部の資格や職業に就けない期間がある

自己破産には資格制限というルールがあり、これにより破産手続き中は一定の職業や役職に就けなくなる場合があります。主な資格や職業は以下のとおりです。

  • 保険外交員(生命保険募集人)
  • 貸金業者
  • 宅地建物取引士
  • 士業(司法書士や税理士など)
  • 警備業者、警備員

これは破産手続きが開始してから免責許可決定が出るまでの期間に限定された制限で、免責が確定すれば原則として復権し、再び資格や職に就くことが可能になります

期間中は転職や配置転換を余儀なくされるケースもあり、資格制限を確認せず自己破産を選ぶと、仕事を続けられなくなるリスクがあるため注意が必要です。

官報に氏名や住所が掲載される

自己破産の手続きが開始されると、国が発行する官報に氏名と住所が掲載されます。

破産した事実が公にされると不安に感じる方もいますが、官報は一般の人が日常的に読むものではないため、日常生活で偶然見られてしまう可能性は高くありません

ただし、信用情報機関とは別に官報情報をもとに情報を掲載する民間データベースが存在する場合があり、長期的にインターネット上に名前が残るリスクを懸念する声もあります。

官報への掲載は法律上の手続きとして避けられないため、どうしても周囲に知られたくないと考える方には心理的なハードルになりやすいです。

自己破産で免責されないケース

自己破産で免責されないケース

自己破産をすれば、原則として多くの借金は免除されますが、すべてのケースで必ず免責が認められるわけではありません。ここでは、免責されない主なケースについて詳しく解説します。

浪費やギャンブルが原因

借金の主な原因が浪費やギャンブルの場合、自己破産の免責が認められない可能性があります。

破産法において、「浪費又は賭博その他の射幸行為によって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した」ときは、免責不許可事由に当たると明記されています。

ただし、少額の浪費や一時的なギャンブルだけで免責が否定されるわけではなく、収入や資産の状況からみて、身の丈を超えた使い方を長期間続けていないかが評価のポイントになります。

また、その後きちんと反省し、反省文の提出や家計表の改善などを通じて再発防止の姿勢を示していれば、裁判所の裁量免責によって免責が許可されることもあります。

自己破産を検討し始めた段階で浪費やギャンブルはやめ、早めに専門家へ相談することが重要です。

財産隠しや虚偽申告がある

自己破産では、財産隠しを行うと免責不許可事由に該当します。

自己破産の手続きでは、預貯金や不動産、車や保険など、すべての財産状況や借金の内訳を正直に申告する義務があります。

義務であるにもかかわらず、通帳や現金を故意に隠したり、価値のある車や貴金属を知人に名義だけ移すなどの財産隠しを行うと、当然ながら免責は認められません

同じく、裁判所や破産管財人からの質問に嘘の説明をしたり、一部の債権者をわざと記載しないなどの虚偽申告も、免責不許可事由として厳しく扱われます。

こうした行為が発覚すると、借金の免除が認められないばかりか、悪質な場合には詐欺破産罪などの刑事責任を問われるリスクもあるため注意が必要です。

特定の債権者だけ優先して返済している

自己破産では、特定の債権者だけ偏って返済する行為(偏頗弁済)も免責不許可事由の一つになります。

例えば、「家族には迷惑をかけられない」と親族だけ借金を完済する、「取引先との関係を守りたいから特定の業者だけ支払う」などのケースです。

これは、他の債権者からすると自分の取り分が不当に減らされている状態であり、破産法では偏頗弁済として免責不許可事由に含めています。

実務上は、破産手続きに入る前の不自然な返済状況が通帳の提出などによりチェックされ、特定の相手にだけ大きな支払いをしていないかが調査されます。

自己破産を検討した段階で返済はストップし、どの債権者にどのような対応をするべきかは弁護士と相談しながら進めるのが望ましいです。

税金や養育費など免責対象外の債務

自己破産では、免責決定が出たとしても、その効果の対象外となる債務があります。

  • 税金
  • 社会保険料
  • 養育費
  • 悪意による不法行為の損害賠償金
  • 故意または重過失で人の生命・身体を害した場合の損害賠償金
  • 雇用関係に基づく一定の債務

例えば、自己破産でクレジットカードやカードローンの返済義務はなくなっても、税金や養育費などについては支払義務が継続します

自己破産をすれば全ての負担が消えると安易に考えず、自分の債務がどこまで免責される可能性があるのか、事前に専門家に確認しておくと安心です。

まとめ

自己破産は、借金の返済義務を原則ゼロにできる手続きであり、返済に追われる生活や取立ての不安から解放され、人生を立て直す大きなきっかけになり得ます。

一方で、一定の財産が処分されたり一部の資格や職業に制限が生じるなど、決して無視できない大きなデメリットや注意点もあります。

本当に自己破産が自分にとって最適な選択肢なのかは、現在の収入や資産、家族状況などを踏まえて総合的に判断することが重要です。

さっぽろ駅から徒歩1分の場所にある『札幌パシフィック法律事務所』では、丁寧な無料カウンセリングを通して、一人ひとりに合った債務整理の方法を一緒に検討いたします。

自己破産を選択するべきか悩んでいる方は、お気軽にご相談ください。

監修者情報

弁護士法人札幌パシフィック法律事務所 代表 佐々木 光嗣 平成25年札幌弁護士会登録

弁護士法人札幌パシフィック法律事務所

代表 佐々木 光嗣 平成25年札幌弁護士会登録

経歴

  • 昭和54年 11月12日生まれ
  • 平成10年 北海道札幌北高等学校 卒業
  • 平成14年 北海道大学法学部 卒業
  • 平成16年 北海道大学法学部法学研究科修士課程 修了
  • 平成22年 北海道大学法科大学院 修了(法務博士)
  • 平成23年 司法試験合格
  • 平成24年 弁護士登録(東京弁護士会 弁護士法人アディーレ法律事務所)
  • 平成25年 札幌弁護士会に登録替え
  • 平成28年 小畑法律事務所 入所
  • 平成30年 札幌パシフィック法律事務所設立
  • 令和3年 弁護士法人札幌パシフィック法律事務所設立(法人化)
  • 令和6年 税理士業務開始(通知税理士)

メディア掲載・出演歴

  • 平成28年12月 財界さっぽろ
  • 平成29年03月 HBC「今日ドキッ!」
  • 平成29年09月 HBC「今日ドキッ!」
  • 平成29年12月 財界さっぽろ
  • 令和4年9月 月刊Masters
  • 令和5年3月 北海道相続レンジャーセミナー講師